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めずらしい仕事
これだけ毎日チョコレート周りで動きまわっていますが、今もって私と同じだけ同じことを続けている人に出会ったことも、聞いたこともないので、私の仕事はレアみたいです。海外でもめずらしがられます。チョコを伝える仕事を続けるなんて相当なもの好き(チョコ好き)なのですね。
私は、大学卒業後、放送局に入社して主に番組制作をしていました。社内には優秀な先輩方がいらして、多くを学びました。若い頃の私に根気良くつきあってくださった聡明な上司や同僚、友人のおかげで、今があります。そこで身につけたことや、情報発信の基本を活かす、チョコレートとの関わりで社会に活かす。たとえ微力でも、そこに私の役割みたいなものがあるような気がしています。
放送局より長い経歴は、チョコレート愛好家です。5才からの筋金入のチョコレート愛好家で、チョコ好きは一生変わらなさそう。あまり自慢できることはありませんが、この2つはなかなかなのかもしれません。
それから、私は論理的な一面があると同時にとても感覚的です。洋服やステーショナリーと違って、チョコは食べ物ですからまずはおしゃれ等以上に、安全と味が第一。次にパッケージや店の美しさや統一感、スタッフ、作る人の気配や状態まで感じ取っています。
伝えていること
知ったら、なんでも伝えるわけでなく、私が実際に向きあい、体験、検証し、納得したことのみを伝えるので、実は私が書いたり話したりする向こう側に、少なく見積もって10倍以上の情報と作業があります、これは放送局時代から変わりません。
もてなされて舞い上がってしまった結果が垣間見えるような記事は、私が書く役割ではないと思っていますし、有名でなくても誰も注目していなくても、私がこれはと感じたならそう伝えます。逆にどんなに誰かが良いと言おうと、私が違うと実感したら、伝えられません。畏れ多くもジャーナリスト、と名乗らせていただいている限りは、ポジティブな情報がメインとはいえ、すべての私の発信に理由があります。
うれしいこと
うれしいのは、私の仕事を理解し、信頼してくださり、ご依頼・ご協力くださる方が年々増えることです。感謝でいっぱい。信頼できる大好きな方々がたくさんいて、楽しいことがたくさんあります。
私は表にもでますが、実は裏方の仕事が多く、そもそも元ディレクターなのであれこれ考え、戦略をたて、プロデュース、コーディネート、ディレクションなどをするのが一番好きで得意なのです。あまりどこにも書きませんが、多くの関係者のみなさんと出かけたり、話し続けてエンドレスになったり、爆笑したりしてることがしょっちゅうです!
依存はしない
チョコレートに依存しないのも、私の特徴です。チョコを口にしない日はありませんが、偏愛・依存はしません。チョコホリック、という言葉は、アルカホリックを思い起こさせる、あまりよいワードではないと個人的には思っています。
チョコを味わいつつ健康でいるためには、食生活全体に気を配り、体の状態をチェックすること。幸い私は好き嫌いがなくてバランスのよい食事が大好き。健康が最優先です。自己管理なしに、この仕事は継続できません。
持続可能な理由
偏愛、依存はしない、に加えて、私は、何かを偏愛するゆえに変わった生活や極端な摂取、行動、消費をする(それを大げさにアピールしたり仕立てる)、みたいなことをあまり面白いと感じるタイプではありません。私とチョコとの関係性がこんなに長きにわたり健全な理由は、偏愛ではなく多分、愛だからかもしれないと思います。ベタな型、みたいなものにはまらないのは、今、そしてこれからの時代の空気にマッチしている気がします。
私の経歴
「銀座百点」2021年2月号のエッセイ、ananにも見開き2ページ、私のチョコ愛ヒストリーを寄稿しましたので、読んでくださった方もいるかもしれません。
私は、5才からチョコ好きです。よくわからないけど、気づいたら好きなんですよね。大正生まれの寡黙だった祖父が、いつも小さな私にチョコレートを買ってくれたから、こうなったのかもしれません。私は祖父のやさしい笑顔が好きでした。この仕事はきっと、亡くなった祖父が、チョコにずっと会えるよう、私にくれたプレゼントです。
大学卒業後は、忌野清志郎さんに会って一緒に仕事をしたい、という理由メインで受けた民間放送局(就職試験ではそんなこと決して明かしませんでしたが)に運良く入社しました。仕事は主にラジオのディレクター。忙しい仕事の合間に、2003年からペンネームでブログを書きはじめたのが、私がチョコレートジャーナリスト・コーディネーターになったきっかけです。
私が本格的な愛好家となった1990年代は、まだ誰もジャン=ポール・エヴァンやラ・メゾン・デュ・ショコラを知りませんでした。ヨーロッパのショコラをなんとか調達しようと、パリやリヨンに行く友だちや仕事仲間にお願いしたり。そんな時代を経験してきた私は、日本でこうして世界中のチョコレートに簡単にアクセスできるのが、いまも夢のようです。
忌野清志郎さんのこと
忌野清志郎さんは、子どもの頃から私のスーパースターです。「単にファンという次元じゃないのに」と理屈でなく感じていて、清志郎さんに会って仕事するんだと中学のころから決めていました。まわりはありえないと思っていたようです(当前ですよね)。
夢が叶って、ディレクター時代に清志郎さんが初めて私の番組にゲスト出演してくださったときのことは、忘れられません。私はうれしくてうれしくて涙ぐんで叫び出しそうなのをこらえ、なんとか震えずに足で立って、普通の顔をしたディレクターでいるのに必死でした。その後、何度も私の番組に来てくださって、何度一緒に番組をつくっても、お隣にすわって話しても、お会いしてもお会いしてもいつまでも会いたい、物静かな、永遠の芸術のような方でした。
好きないろいろ
好きなアーティスト
忌野清志郎さん、岡本太郎さん、大林宣彦さん、JIMI Hendrix、最近だと崎山蒼志さんなど。アーティストさんに限らず、好きな方は、まだまだ身近にも大勢……。日々、ときめいたり、勉強させていただいています。
好きなたべもの
日本の家庭料理が好きです。よくこなれた料理がよく、自分で作る料理が一番好きかも。いわゆる高級レストランも好きですが、数年前から素敵な方々と時折、がちょうどよくなりました。かつて随分出かけたので、だいたいのイメージをつかみ、気持ちがおさまったのかもしれません。シャンパーニュが大好きでしたが、今はマリアージュの仕事など以外でお酒はいただきません。単品なら、食用ほおずき、かためのプリン、キャロットケーキ、ブルーベリーマフィン、アボカド、ブリトー、イチゴ、美味しい紅茶、美味しいカフェラテ、ホタテ、蟹味噌(幼児の頃からチョコと並んで味に感銘をうけていた)など。甘すぎるものは苦手。
好きな場所
Tokyoが一番好きです。麻布、広尾、青山、六本木、など馴染みのある拠点が特に。軽井沢も沖縄も好き。放送局のスタジオはふるさとのようで、自分らしくいられてしあわせ。NHKの食堂にいると特に自分らしい気がします。美術館なども好きです。グッゲンハイム美術館は、ビルバオもNYも行きました。
好きなこと
お笑いと愉快な人が大好きで、常に涙が出るほど爆笑するのを望んでいます。アート、ファッション、音楽、心理学、壁なく興味の幅が広く、センスや価値観のあう方と「いつまでも話していられますね」という感覚になると幸せ。好きな言葉はゲシュタルトの祈り。心理学の勉強、読書、海外や地方を一人で歩く時間も好きです。
テキスト:市川歩美